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最高裁判所第一小法廷 昭和28年(あ)1870号 決定 1958年3月27日

本籍

綾部市大字綾部町五〇番地

住居

同市南西町五〇番地

会社社長

平田千賀雄

明治三五年一月二五日生

右に対する公正証書原本不実記載、偽造公正証書原本行使被告事件について、昭和二七年一二月四日大阪高等裁判所の言渡した判決に対し原審弁護人大槻弘道から上告の申立があつたので当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人大槻弘道の上告趣意第一点は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反の主張であり、同第二点、第三点は、違憲をいうが、その実質は、単なる訴訟法違反、事実誤認の主張を出でないものであり、同第四点中判例違反をいう点は、所論引用の判例は、昭和一三年法律七二号による改正前の商法二六一条二項に「前項ノ規定ハ刑法ニ正条アル場合ニハ之ヲ適用セス」とあつた当時の判例にかかり、右法律の改正により右の規定がおかれなくなつた後の商法四八九条には適切でない。右改正後の行為に対しては一面商法四八九条の罪が成立するとともに、他面刑法一五七条の罪が成立することあるを妨げるものではない。また、違憲をいう点は、その実質は単なる法令違反の主張に過ぎないものであつて、すべて、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。また記録を調べても本件につき四一一条一号、三号を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 真野毅 裁判官 斎藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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